ハナコと芥川さんがキスをしている時、エレベーターのドアーが開きそこに剛がいました。
剛、君は何を感じたのか分からないが、きっと、芥川のところに自分がいる空想をしていたに違いない、しかしハナコは何故芥川とキスをするのか。
女は元々好意を寄せている男とならいつかチャンスあればと狙っているのか。会話が途絶え、見詰め合えばそうなるのは分かりきった事でしょう。
芥川は、軽く唇を重ねるのではなく、もっと奥深い、ディープなキスを望んでいたに違いない。その証拠に、芥川は口を半開きにして向っていた。
それは台本に書かれたことか、それとも役になりきったがゆえにの事か。そんなことがまかり通るなら俺も役者になりたい。
剛のやさしい君への気持ちをさっき聞いたばかりじゃない、芥川から。俺は残念だ。
なぜに剛と二人きりのエレベーターが故障して欲しいと思うのか。
昨日のことの言い訳でもするつもりか。それとも剛ともしたかったのか。
静かなエレベータの空気に押しつぶされそうだろう。それが剛の答えさ。俺なら、「どうせなら俺にもさせて」と便乗するだろう。できるんやったらせな損や。
先生がこれから恋するらしい。さっき「ババシャツ着てるから」とかいってうまくはぐらかしたのに。
先生までがそんなこといいだしたら、あっちでもこっちでも目が離せなくなるじゃないか。お願いだからあんたは恋などせず豚と遊んでいてくれ。
芥川は妙にご機嫌。
「明日は明日の風が吹く」と言っている場合か、君たちは。
(本文と絵は関係ありません。)